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限界Lovers
第30章 ラスボス登場
「いえ、悪いのは全部姉なんで」


「自業自得でしょ」


笑顔の下でいがみ合う俺たちはやっぱり仲のいい姉弟とは言い難い。


「みなみちゃん呼んで来ましょうか?もう上がれるはずだから」


「大丈夫・・・待ってますから」


「ストーキングは得意だからいいんだって」


「オイ!」


みなみの仕事仲間の人は「仲いいですね」と笑って行ったけど・・・


「仲いいか?」


「言われた事ないよね」


・・・俺たちには分からなかった。


それから少しするとみなみがヒョッコリ顔を出し、俺と姉貴がいる事に驚いていた。
・・・と同時にお客さんがやってきたので俺たちそそくさと店を出た。




「アユミさんがここに居ること知ってたの?」


「いや、今日見かけてびっくりした。・・・それより俺が何で来たか分かるよな?」


「・・・・・・・・・」


相変わらずみなみはぶーたれている。


「兄さんこれから帰るみたいだから・・・」


みなみは何も言わなかった。
もっと抵抗されると思ったけど思いの外大人しく付いて来た。



駅に着いたのは6時丁度。
ゴリラーマンが乗ると思われる新幹線の出発時刻は6時35分。


・・・ゴリラーマンの姿はまだ見えない。


しばらく待って目を凝らすがそれらしき人物は見当たらず・・・
あんなのを見逃すはずが無いから時計を気にしながらただひたすら待った。
みなみは隣でマフラーに鼻から下を埋めジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。


「・・・電話してみろよ」


「嫌」


「・・・・・・・・・」


新幹線出発時刻の10分程前になってやっとゴリラーマンがやって来た。
周りの人から頭一つ抜き出た威圧感のあるあの体が素晴らしいと思ったのは初めてだった。


「来たぞ」


小さくみなみに声を掛けても無反応なみなみを連れてゴリラーマンに声を掛けた。


「一ノ瀬さん!」


「・・・・・・・・・」


ゴリラーマンはゴリラーマンで俺たちを見て眉をしかめる。


「何だ、最後のゴマすりか」


「ちょ!」


すぐ反応するみなみを手で静止してできる限りの笑顔で答える。


「そうです、見送りに」


「・・・フン」



ゴリラーマンの両手は土産がいっぱいで塞がっていた。
その紙袋はの殆どがお菓子で・・・家族や会社に買ったんだろうか。



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