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限界Lovers
第31章 初めて記念日

「山下さん、自分の分くらい払わせてください」


「いや・・・みなみちゃん、誘ったの俺だし君学生で俺社会人だし・・・これくらい奢らせて」


「でも・・・」


そして店を出てからの流れに少々面食らっていた。
奢ると言えば大抵の子は喜んで甘えるし、それから何となく良い雰囲気にもなっていくのに・・・


「・・・分った。じゃあみなみちゃんにもお願い聞いてもらうから」


「お願い・・・ですか?」


「そう、二つ。一つは本当にまた飯付き合ってよ」


俺のお願いを聞いたみなみちゃんは嬉しそうに頷いた。
・・・可愛いなクソっ!


「もう一つは・・・俺“遥斗”って言うんだ。もし良かったら名前で呼んでくれない?」


「名前・・・」


「そう、苗字で呼ばれるとどうも仕事してるみたいで・・・」


距離を縮めたいだけの取ってつけた理由にみなみちゃんはじっと俺を見たまま口を開いて・・・


「はると・・・さん」


そしてボンっと赤くなる。


「!」


何だこれ!
ただ名前を呼ばれただけじゃないか・・・


それなのに・・・
呼ばせたのは俺なのに・・・


「はい・・・」


すっっげー恥ずかしい・・・


真っ赤になる俺たちは中学生みたいだ。
そしてまた照れるみなみちゃんが可愛くて・・・


「えっと・・・今日はご馳走様でした」


「あ・・・いえ・・・」


とてもじゃないけどこの後ホテルどう?なんて言えない・・・


「じゃあまた」


「うん、また・・・」


ペコリと頭を下げてみなみちゃんは人波に消えて行った。
その背中が見えなくなるまで見送って・・・





「・・・・・・だああああっっ!!」


何をやってるんだ俺は!
エッチは愚かキスは愚かメアド交換さえできてないじゃないか!


これじゃ可愛いみなみちゃんとのただの会食じゃないか!


初めてだ・・・


こんな不祥事は初めてだ・・・







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