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限界Lovers
第31章 初めて記念日
バレンタイン当日、その日は一日中気が気じゃなかった。
会社の女子社員から義理チョコを貰って・・・紙袋一つ分のそれを持ち帰る。


ちなみに会社で貰ったチョコは一年目のこの年がピークだった。
去年は何故だかその1/3以下に減っていた。


期待を抱いて帰ると家の前にみなみちゃんは居なくて、ガッカリしながら玄関を開ける。


時計を見てソワソワして・・・シャワーを浴びたりメールの着信音に翻弄され長い時間を持て余しながらみなみちゃんを待っていた。


すると・・・


♪ピンポーン


インターホンが鳴ってモニターも確認せずに飛び出すように玄関を開ける。


「夜分遅くにすみませーん、新聞の集金でーす」


「・・・・・・・・・」


新聞の集金だった。
集金のオバちゃんは何度来てもお袋が居なかったと苦情じみた世間話を長々続け、ハイハイと聞いては代わりに謝る。


やっと帰ったオバちゃんにホッとしていると・・・



♪ピンポーン


今度こそ・・・!


喜び勇んでドアを開けると今度は・・・


「町内会の集金でーす」


・・・またもや集金だ。


金を払いまたまたオバちゃんの世間話を聞かされやっと帰ってホッとする。
すると・・・



♪ピンポーン


・・・今度は何だ!
NHKか宗教勧誘か!?


「はいはーい!!」


半ばヤケになりながらドアを開けるとそこに居たのは・・・


「こ、こんばんは」


「みなみちゃん・・・」


みなみちゃんだ・・・


どこか緊張した面持ちでみなみちゃんは立っていた。
来てくれた・・・
決心してきてくれたんだ・・・!


それだけで胸が一杯だった。





「あ、あの・・・上がって」


「お邪魔します」


みなみちゃんがウチに上がり俺の部屋に通す。


「みなみちゃん飯食った?」


「うん・・・私は平気だから気にしないで。・・・家で色々準備してきたし・・・」


準備・・・
何の準備だオイ!


妄想が膨らみそうになり、このままじゃ平常心を保てなくなるから無理矢理打ち切った。


「遥斗さんは?」


「俺は・・・俺も平気」


胸が一杯で今は飯なんて入らない。






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