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限界Lovers
第8章 鈴木将太の憂鬱



その機会は思いもよらずやってきた。



「今日は水羊羹…母ちゃん、ありがどな」




田舎の母から届いた水羊羹を手にみなみちゃんの家のインターホンを押す。



電気がついてるから家にいるとは思うのに反応がない。



もう一度インターホンを押すと…




「は、はいっ!遥斗!?」





慌てたみなみちゃんの声と共に勢いよくドアが開き…





「!!!!!!!!!!!」



そこには濡れ髪に、バスタオル一枚の天使がいた…




「えっ!鈴木くん!?」



みなみちゃんが驚いてドアを閉めようとする。



それは咄嗟の行動だった。




頭より先に体が動いた。




気がつけば僕はドアを押さえみなみちゃんの家の玄関に押し入っていた。



「す、鈴木くん…?」



みなみちゃんの顔は怯えている。
無理もない、こんな状況だ。




「……誰かに見られたら大変だから」





一目見たときから好きだった。
笑顔が可愛いなって…




でも彼女は男と一緒に住んでいて…




「みなみちゃん…」



「………」






みなみちゃんは泣きそうだった。
胸元をギュッと握りそこを隠すようタオルを上げると裾が上がる。



一瞬の隙も逃すまいと僕たちは互いに視線を反らすことなく見合っている。



獲物を追い詰めたくなるのは雄の本能なのだろうか。



一歩にじり寄ればみなみちゃんは一歩後ずさる。



そのシチュエーションにゾクゾクした。




「みなみちゃん…」


「………」




僕に怯える目。


いくら力がない僕でもみなみちゃんくらいどうにでもできるだろう。














でも……






「…よ、羊羮。田舎から送ってきたんです。……食べてください」



「えっ…」




僕は力任せに「みなみちゃん」が欲しいんじゃない。




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