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石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
第12章 第三話・参
 本音を言えば、今すぐにでもお民の後を追い、石澤嘉門の屋敷に乗り込んでゆきたい。
 だが、それは、けして、お民の望むことではないだろう。
 あの女は、そういう女だ。
 たとえ源治がお民と共に嘉門の許に乗り込んでいっても、龍之助を取り戻しにいったときのように滅多討ちにされ、半殺しの目に遭うのが関の山。下手をすれば、今度こそ間違いなく生命を奪われることになる。
 つまり、今、源治が激情に駆られて飛び出していっても、何の意味もないどころか、かえってお民を哀しませることになるだけだ。
 源治が死ねば、お民は泣き、哀しむ。
 今の源治には祈りながら、待つしかできない。
 お民の、松之助の無事を願いながら。
 源治は何もできぬ我が身を口惜しく思いながら、拳を握りしめた。
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