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第8章 休憩してあげる

数分歩いてたどり着いたのは……、桜と紅葉が咲き乱れる絶景だった。
地面には桜や紅葉が舞い散り、色とりどりの花々が咲き乱れている。

その奥には、大きな滝つぼをバックに江戸のような町並みが広がっている。
入り口のほうは、藤の花がアーチのように咲き誇っていた。

クロウは、目を輝かせながら走って行く。
桜の花を見上げたり、紅葉を見上げたり、牡丹の花や椿の花を眺めて見たり。
藤の花のアーチを潜っては、また戻って潜るを何度も繰り返している。

けれど、同じような行動をしている人はかなりの数が居て、さっきのヴェネツィアよりも人気な場所みたい。

「滝つぼの近くに行くと、川下りができるらしいが、その先に城下町があるんだと」
「おお、川下りか!　すぐに行くぞ!」

聞こえていないはずの多い距離に居たクロウが走って戻ってくる。
周りではしゃいでいた人達も走って行ってしまう。
他の人達もわたわたと走り出した。

「む、負けられん!」

クロウも慌てた様子で走り出し、エリさんが止めるのも関わらずに見えなくなってしまう。
あまりのはしゃぎっぷりに、本当にあの人は桜なのかと疑ってしまうほどで……。

「ったく、アイツ。城下町は、ギルドハウスやマイルームばっかだって言おうとしたのに」
「他に何か見る施設はないの?」
「たーぶん、絶景とか眺めるだけじゃないのか?」
「ま、まぁそれなら風景を見て帰ってくれば。その頃にはお店も空いてると思うよ」
「はぁ、そうするしかなさそうだ」

エリさんにエスコートされながら歩いて行くと、男性用の着物店や女性用の着物店。
その他にも、茶屋やらカキ氷屋やら和風なお菓子が多数並んだお店、そして様々な食べ物屋から遊郭への通り道もあった。
ほとんどのお店に列ができていて、外の売り子のお姉さん達も町娘風な格好をした人ばかりで。
お姫様や侍、そして殿様風な着物を着ている人達は、ほとんど西洋風な武器を持っていたからゲームで遊んでいるプレイヤーだと思う。

「エリさん、遊郭行かなくていいの?」
「お前が相手してくれるんならな」
「もう、それじゃ意味ないじゃない」

女の人の扱いがとっても上手いエリさん。
現実のエリさんは可愛らしかったし、彼女が居そう。
こんな事をしてもらって、本当に彼女さんに悪いなと思う。