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第8章 休憩してあげる

この人は、私を子供の時から中学を卒業するまでの間、私の専属メイド兼教育係を兼ねていた人。
しかも、柳と桜の母であり、２人の教育もしていた結構凄い人。
ちなみに、たっくんの教育係は椿さんの旦那さんである雅さんがしてた。
だから、私の親のような存在でもあるこの人には絶対逆らえない。
あの、我侭が服を着て歩いているような隼人君でさえ、椿さんには逆らえないから避ける程で。

この椿さんが出てくるって、余程の事と認定されたのかも。
私が浚われたって、結構事が大きかったのかな?
すぐ戻ってこれたから、そこまで大きくしなくてもいいと思うんだけど。

そんな私の考えを見抜くように、椿さんが眉を吊り上げた。

「お嬢様、今回の事件は非常に重大な事件です。ですので、慎重に行動なさって下さいませ。貴方は、そもそも……」

それから、私はその場で正座をさせられて長々と説教タイムに入ってしまった。

本来なら、雅さんがヘリで来る事を伝えようとしていたんだろうけど……、説教モードに入ったため、雅さんは苦笑しながら目の前の窓を叩いている。
ちなみに、雅さんのヘリが目の前で止まったのは役5分くらい前。
だから、その間出てこないし、椿さんも電話にでないものだから……、わざわざ梯子を降ろして雅さんが梯子を使って、呼びに来たらしい。

その事が、警察の人にバレたみたいで……、ドアの奥のほうから大勢の声が聞こえてくる。
それでも、ノンストップな椿さんの説教。
一応聞いては居るんだけど、ドアを打ち破られた時に、ようやく椿さんは現在どうなっているかに気が付いたみたい。
あの人は、執事さんだよと説明しようとした瞬間、警察の一人に銃を付きつけられた。

「大人しくしろ、外の不審者をすぐに室内へ入れろ」

頭の中が真っ白になって、椿さんの説教がようやく止まった。

窓の向こうに居る雅さんは、頭を抱えている。
何がどうなったかわからなくて、私はとりあえず手を上げて降参のポーズをとった。

その時だった。
激しい銃声音と共に、多数の人が倒れていく音が聞こえる。
そうして、ちらっと見えた姿は先ほど私の護衛になると言っていたヴァイツさん達。

その時だった、ヴァイツさんの顔にナイフが掠めていって……、顔に傷がつくのではなく薄い布のようなものが切れた。
その布のような物を、周りの人が勢い良く破ると、なんと……桜だった!