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第1章 1章　救ってあげる

そう、私はたっくんが目覚めなくなった翌日の朝から準備したの。
だって、その日は出勤する日なのに目覚めなかったから。
真面目なたっくんが無断欠勤するなんて、緊急事態だとわかっていたから。

たっくんの部屋を掃除ついでに何処へ行ったのかについても突き止めた。
ヴァーチャル世界特集　-ヴァーチャルダイヴ初心者入門-
この本の仮想現実大規模多人数オンライン（Virtual Reality Massively Multiplayer Online)通称VRMMOの一つに線が引いてあった。
その名も、ヴィーナスオンライン。

ファンタジーやお伽話が大好きで、クリスタルとか宝石が大好きだったたっくん。
ヴィーナスオンラインの紹介の所に載っている写真は、氷の城やら暗い天井に宙に宝石が散らばる宇宙空間のようなレストラン、そして水の上に涼しげな町。
光物の大好きなたっくんが好みそうな世界観。

大丈夫、たっくんはこのゲームをしてる。
だから、私はダイヴマシンを購入してセッティングまで終わらせた。

「今日はお休みだから、夕方まで戻らないからね」
それだけ告げると、私は部屋の中に行く。
ヴァーチャル世界に行くのって確か眠ってる事と同じだっけ?

起きて身支度したばかりだから、昨日の夜から行ってもよかったな。

そんな他愛もない事を考えながらダイヴマシンの中に入る。
アロマを設定できるらしく、私は迷わずレモンをチョイス。
すると、辺りにレモンのいい香りが充満してきて、非常にリラックスできる。

……いい気持ち。
そう思っていると、ふいに眠たくなり……。