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背徳の扉
第3章 智と翔ちゃん


翔:「待って」


智が翔の部屋を出て行こうとするのを止める。


翔:「俺兄さんの事知りたい。過去の事教えて?兄さんはどうしてあの施設に預けられたの?過去に何があったの?」


智:「・・・・」


思えば翔もユリも智の過去を何も知らない。


一度ユリは智の過去を尋ねたが結局は何も聞けていなかった。


翔:「さっき売春させられてたとか言ってたけど・・兄さん自分が汚いって思ってない?」


智:「・・・思ってるよ・・俺は汚れてる・・」


心も身体も全て・・


だから智はキャンパスに綺麗なものだけを見つめて描き続ける。


智の目にはユリと翔が美しく見える。




テレビでユリの出てるドラマを見る。


ユリは俳優とキスをするがそれ以上の行為はしない。


ベッドに倒れて絡むがそれ以上はしない。


ユリが処女だって事も知っている。


もしユリに2人の息子を差し置いて好きな男が出来て付き合ったら・・なんて事を考えるとムカムカする。


あの俳優と重ねた唇だけでも許せない!


綺麗なユリに触るな!


気づけば拳が震えるぐらい握っていた。


ユリが汚れる前に俺の手で・・


智は自分の心が真っ黒になっていくのを感じる。


智:「俺・・最低だな・・」


でも、もう止められない・・


智は嫌われる覚悟で決意した。
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