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私達が人間を辞めた日
第2章 失われた日常
突然の呼び出し...昨夜の男の話を思い出す。あの後はひたすら泣いていたので心の準備などしていないし、未だに現実を受け入れられていない。
私を呼び出した二人の男は私の檻の前にしゃがみ、鋭く言った。
「何してる...早く食え!!」
「あの...今は...いりません...」
震える声を絞り出す。
前に並んだ檻を見る限り、檻は番号順に並んでいるようだ。つまり、番号順に並んでいるのに私の7番が空いているという事は...この檻に私以前にも人がいたという事になる。
その人がどうなったかは想像したくないが、かつてこの檻で誰かが監禁され、ここで排泄もしていたと思うとどうしても食欲が沸かない...
ガン!!!
男は鉄格子を蹴り怒鳴る。
「食え!!痛い目に合いたくなければさっさと食うんだよ!!」
ビクリと身を縮めるも、男の怒号は私を萎縮させるのに十分だった。
床のパンを掴み、息を止めて口に含む。
時間が経っているようでパンは硬く味気なくパサパサの食感は口の水分を奪う。
男の視線にプレッシャーを感じながら急いで水で流し込む。水は酷く温く、冷蔵庫で保管などしていないようだ。
「遅いぞ、両手を出せ!!」
男は再び怒鳴りながら小窓を指差した。