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私達が人間を辞めた日
第8章 儚い指先
「ンンッ!?」
泉と口付け...舌が絡まると激しい吐き気が込み上げた。
その原因は泉ではなく泉の舌を汚した私の恥部の味...強烈な酸っぱさと苦味...生理的な嫌悪感に苛まれる程不快な味だった。
「うっ...うぅ...」
情けない嗚咽が洩れる。
泉はこんな醜悪な物を無表情で舐め続けていられたなんて...そしてその醜悪な物が...私の体の一部であるという事が、泉への罪悪感と自分の惨めさを際立たせる。
泉は私の頭を持つフリをしながら優しく私の頭を撫でる。この泉の気遣いと思いやりがなければ私は発狂していただろう。
「んッ...はぁ....ンン...」
せめて舌を執拗に絡ませ...泉の舌の汚れを落とし...飲み込む。
寿の合図が出るまで...その行為は続いた...
泉と唇が離れた時...無意識に声が洩れる。
「泉ちゃん...ごめんね...」
その瞬間、寿の鞭が泉の背中を打った。
「ッああああ!!」
悲鳴を上げて涙する泉...寿は私を見詰め...言う。
「余計な事を口にするな」
...つまり...私達はお互いに謝る事すら...許されない。