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私達が人間を辞めた日
第10章 孤独な相部屋
現金に目覚めた18番と私は正座になる。空腹で衰弱した体を動かすのは辛いが、食事が運ばれて来る時に正座をしていないとぶたれるのだ。
私に比べて早く正座になった18番はどことなく期待しているように見える。
...その顔を見ただけで...殺意が押し押せる...
18番は身長170近いだろう、女性の中では相当長身であり、胸には無駄な脂肪をぶら下げ、男達は「肉付きのいい体」と言いそうだか...身長150程で体のすべてが小柄、更にこの生活でもっとやつれた私から見ればただの豚だ...
「飯の時間だぞー」
部屋に荷台を押して入って来た作業服の男は呑気な声を出し、 私達の拘束を外す。この時間だけは両手両足が自由になる。
「よし。始めろ」
男の合図で私達はテーブルに移動し、向かい合うとテーブルに肘を置き手をあげる。
...そう...これは腕相撲...私達は一日二度の食事の前に腕相撲をやらされる。
ルールは簡単...勝った方が食事を与えられ...負けた方は少しの水だけ与えられる。
対策も単純明解...お互い交互に勝つようにすればいいのだ。それなら一日一食だが...しばらく死ぬ事は無い。
しかし...元々の体格の差もある...私は一度も18番に勝てていない。