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私達が人間を辞めた日
第10章 孤独な相部屋
【ぴんぽーん】
今日二度目の食事...
本当に...辛い...もう限界が近いだろう...正座するのでさえ億劫だ。
18番に芽生えた殺意も空腹に押し返されている。
今回は二人の男が入って来る...さっき...といっても何時間も前だが、その時の男と...寿。
私も18番も全身を震えさせる...寿への恐怖は十分に心と体に刻み付けられているのだ。
作業服の男は私の拘束を外したが、18番はそのまま...這うようにテーブルに向かう私に男は言った。
「今回は寿様のお情けで4番だけに食事を与える」
...え?予想外過ぎる言葉に耳を疑った。
思わず寿を見ると、穏やかな笑みを浮かべている。
寿って...こんなに優しい顔ができたの...?
テーブルに置かれたのはパンでは無くトレイ...その上には夢にまで見た白米と、卵焼き...味噌汁まで付いていた。
「あっ!!ありがとうございます!!寿様!!」
「残さず食べろよ。後でまた来る」
ここに来て初めて本心から感謝の言葉を言った。寿は穏やかな声で2センテンス発して帰ったのだが、今の私には前半の1センテンスしか聞こえない。
男が私に頷くのを見て、飛び付くように箸を握った。ああ...箸を持ったのなんて何ヵ月振りだろうか。
私は目の前にある最高級の食事に貪りついた。