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私達が人間を辞めた日
第10章 孤独な相部屋
食事を飲み込むと直ぐに胃から逆流してくる。久しぶりの食事に胃が痙攣するようだが、私は我慢して食べ続けた。
これ程美味しい物を食べたのは初めてだ。
体の水分が足りなくなったせいで食道に貼り付くような白米も...今の私には苦い程味が濃い味噌汁も...遠い日常では堅焼き派の私が食すどろどろとした半熟の卵焼きも...今の私には美味としか思えない...それらを無理矢理胃に押し込む。
横目で見た18番も羨ましそうに見ているが、それも私にとって最高のスパイスだ。
ざまあみろ!!私を陥れた罰だ!!
心の中で毒を吐きながら食事を終える。急に詰め込んだせいでお腹は気持ち悪いが心の底から満足した。
今なら喜んで寿に体を差し出せるだろう...
「食ったな。旨かったか?」
「はい!!ありがとうございます!!」
この男に頭を下げても今は少しも不快にならない。
最後に出された野菜ジュースを一気に飲み干す、久しぶりの味がついた飲み物は体に不足していた栄養が一瞬で補われていく錯覚さえ与えた。
再び拘束された私は、今後の食事の事を楽観視していた。今回の食事を見る限り、少なくとも餓死するまで食事を与えないという事はなさそうだ。
私は空腹が満たされ...珍しく安眠に着いた。