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私達が人間を辞めた日
第10章 孤独な相部屋

そして次の食事の時間...目が覚めてからの体感だと十時間以上は寝ていたと思う。
胃もすっかり落ち着き、全身のだるさもだいぶマシになった。

18番はこの部屋に来て初めて食事を与えられず、再び期待しているような表情。
たった一食...一日二食なので日常から考えると実質二食なのだが、それくらい食べなかったでもう空腹といった様子だ。
...そしてまた...私から食事を奪うつもりだろう。
空腹に押し返されていた怒りがチクチクと沸いてくる...

ガチャッ...扉が開く。
部屋に入って来たのはまた同じ男と寿だった。
寿への恐怖は随分薄れたのだが別の違和感に私達は動揺を示す。二人とも手ぶらだ。
私達の動揺をよそに作業服の男が今回も私の拘束だけ外す...リードを引かれて立ち上がらされる。立つのも少しは楽になっている。

そして寿が穏やかに言う。

「4番...お前だけここから出してやろう」

前回を上回る予想外な言葉...

「...は...はい」

返事をした私はそれだけで地獄から引っ張り上げられたような気がした。
ここに比べたら手足を動かせて一日三食与えられる檻の生活がどれだけマシな事か。
おそらく私達に与えられた罰は食事を食べられない事だろう。目先の欲に囚われた愚かな18番では無く...私が助かったのだ。
寿は希望をチラつかせて叩き落とす天才だが、その逆もあったのだ。
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