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私達が人間を辞めた日
第11章 永遠に...
「ああああああああーーーーッ!!!!!」
私は叫びながら寿に向かう。これだけ怒りを覚えたのは生まれて初めてだ...
寿の体のどこでもいい...どこか一ヶ所でも噛み千切ってやらなければ気が済まない...
寿は少しも慌てる素振りを見せずに足を持ち上げる。
その落ち着いた動作が...私がここで飛びかかる事さえ想定していたという事を感じさせ...益々怒りが込み上げる。
怒りに思考回路を満たされた私はただ猛進するしかなく...寿の足が腹部にめり込んだ...
まるでバイクにでも跳ねられたような衝撃に、私の体は「く」の字に折れ曲がり...盛大に吹き飛ばされた。
「おいおい...妊婦が無理をするなよ」
よりによって腹を蹴り付けた寿の言葉...
「ううッ...う...ぅ...」
私が涙するのは痛みに対してじゃない...かつて無い程の悔しさに対してだ。
寿は追い討ちを掛けるように私の心を揺さぶる言葉を吐く...
「お前がそんな態度をして...旦那がどうなってもいいのか?」
涼ちゃん...でも...
心の支えが一つ崩れると、後はドミノ倒しのように残りの支えも崩れていく...
それは涼自身の心配とは少し違う...ずっと考えないようにしていた事...
...本当に...涼が生きているのかという事だ...