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私達が人間を辞めた日
第12章 枯れないディアスキア

「ッ...!?」

私が目を覚ますと呼吸を乱して物凄い汗をかいていた。
昔の...幼い頃の夢を見ていたようだ。
周囲を見渡すが、昨日からこの檻に居るという事は夢じゃないらしい...

もうあんな夢見たくない...
義務教育を終えるなりあの家から逃げるように一人暮らしを始め、年齢を偽って高校にも行かずにアルバイトで細々と生活している。
母も私という邪魔者が居なくなるのは嬉しいらしい...もっとも、アパートを借りられるのはそのお陰なのだが...
それでも私は過去のトラウマに襲われ続けている...

あの家に居たら本当に殺される...私はそう思いながら生きてきた...
最早私より男の味方である母にも愛着なんて無い。ただあの男の居ない所で大した幸せも贅沢も味わえずにひっそりと暮らせればそれで満足だったのに...私にはそんな暮らしも許されないらしく、アルバイトの帰りに何者かに拉致された。
周りを見る限り、身代金目的の誘拐等ではない事は明らかだ。勿論そうであったとしても私の母が娘の為に金を払うとは思えない。

そんな予想は的中し、ここに連れられた私達の存在理由は作業服の男に説明された。
意味として理解してはいても、それで現状を受け入れる程大人じゃない。しかし私は...「逆らう」という行為ができない...できなくされた人間だ。

母とあの男と、ある一人以外誰も見た事のない私の体...今は毛布で体を隠しているが、寝ている私の服を剥ぎ取った時...背中を見られてしまったんだろう。

「2番!!出ろ!!」

見たくもない夢が私の記憶を呼び覚ましている間の気付かぬ内に、部屋の扉を開けていた作業服の男の声が響いた。
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