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私達が人間を辞めた日
第13章 記事にならない取材
寿はベッドに腰を沈めたまま、私を見て言った。
「誰か人を探しているようだな?」
普通に話しただけでこの威圧感...思わず後退りそうになるも、精一杯堪える。
それを知っているなら盗聴されてる事はほぼ確定...
下手に誤魔化すのも危険だろうし、何よりも寿に嘘をついても見破られるような気がする。
「...はい...」
自分でも驚く程、声が震えている。思ったよりも気圧されているようだ。
「名前は?」
「...咲枝...希望と...咲枝涼...です」
寿が作業服の男に視線を向けると男はポケットからメモ帳を出し、ページを何回か捲って答える。
「寿様。元11番とその夫です」
...元?寿は不審がる私に言う。
「そいつなら知ってる。二人共この館にいるぞ」
寿の目は不気味な色に染まっていた...