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私達が人間を辞めた日
第13章 記事にならない取材
「本当...ですか?」
私は思わず聞いてしまった。ここで否定されようが肯定されようが、真意を確める手段も無いのに、冷静さを欠いてしまっている。
「本当だ...会えるかどうかはお前しだいだな」
そう言った寿が作業服の男に再びアイコンタクトすると、男は一礼して部屋から出る。
私は身構えたまま後退る...
それを餌にして私を抱こうって言うの?冗談じゃない!!
男が女に手枷までして...その上脅すような最低の人間に...
だいたい二人に会わせるなんて口約束を、こんなケダモノが守るなんて思えない。
所詮女だなんて馬鹿にしないで!!!
威圧されていた気持ちが燃え上がってくる。
普段の仕事場でも女だと見下されて反骨精神が沸き上がっている為か、このような女が簡単に従うと思っているような態度をされると、嫌悪感が剥き出しになってしまうのだ。
「こっちに来い」
寿が言うが、私は無言のまま扉のドアノブを掴んだ。しかし、扉が開く気配は無い...外側からロックされているようだ。
わざわざこんな事までするなんて...寿はベッドから立ち上がると、私の元へ歩く。