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私達が人間を辞めた日
第14章 カウントダウン
あまりの恐怖に声すら出せなかった。私が平和に生きていたら、こんな状況に巡り会う事なんて一生無かっただろう。
ナイフは私の額に触れている為、顔を動かせない。
精一杯体の痙攣を抑えるが既に額がズキズキと痛む...
寿はしばらくの間、怯える私を楽しそうに眺める。その恐怖の時間が強烈な腹痛を起こす...
「えほっ...ッ...!!」
そのまま何分間経過したのだろう...
懸命に顔を静止していると...口から茶色い吐瀉物が漏れた。腹痛は更に酷くなっている。
まさかこの短時間で胃潰瘍にでもなっていたのだろうか...
いや...短時間じゃない...この地獄のような毎日...不衛生な生活...それは私の体を蝕んでいたのだろう。
寿はそれを見抜いて最後の一押しをしただけ...勿論、そんな事を狙ってできるなんて有り得ないが...寿ならやりかねないと思ってしまう。
実際...寿はそんな私を見ても全く動じないどころか、その醜悪な笑みを増している。
シュッ...
私の思考が一瞬だけナイフから逸れた瞬間...寿はナイフを鋭く動かした...