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私達が人間を辞めた日
第15章 私は貴方のモノ

よくよく考えれば有り得るのだろうか...寿がリスクを犯して女を売るという事が...
なんで私は今に至るまでこんな簡単な推測ができなかったの?

冷静な判断ができず、ただ目の前の状況に強引な希望を見出だし...それを盲信していたの?
そして男に...媚びて...媚びて...媚びて...悪い事は考えないようにしていただけ?
...それくらい...私は追い詰められていたの?
じゃあ..私の今までの努力は...

その疑問に答えてくれる人なんて居ない...ただ...自分の愚かさに打ちのめされる。
私は一人で策士ぶって...幻想に手を伸ばして嫌な事から...このままこの館で死ぬまで過ごすという現実から目を背けていた。
ここから抜け出せる...逃げれる...自由になれる...そう気休めを自分に言い聞かせて...壊れそうな心を宥めていただけだ...
そして幻想に触れてしまい...ようやく幻想を幻想だと認識してしまった。

ガチャッ...
いつの間にか扉が目の前にある...ここは...寿の部屋だ。
ベッドに腰掛け、優雅に煙草を吹かす寿は言った。

「どうした?やけに元気が無いな...そんなにあの男の元へ行きたかったのか?」

バレ...てる?私が企んでいた事...
喉元に刃物を突き付けられたような悪寒が体を駆け巡った。
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