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私達が人間を辞めた日
第17章 サヨナラ
「泉ちゃんがこれ以上減点されたら、もう本当に危ないの。私が言えた事じゃないけど...変な気を起こさないで...生きて...」
話している内に涙が溢れる...私はなんて身勝手なんだろう。
自分はこの地獄の生活と、泉が受ける仕打ちに耐えられず、死んだ方がマシとさえ思っているのに...泉にはただ生きろと懇願している。
最後のお願いなんて言って...自分の願いを無条件に聞いて貰おうなんて都合の良い事を思いながら...
「私は...泉ちゃんと会えただけで満足だから...ね?絶対...生きて...」
もっと言いたい事は有るはずなのに...言葉にならず、ただ生きてと繰り返す。
その言葉を探す内に、扉が開いた...
「6番!!出ろ!!」
作業服の男は珍しく五人でやって来た。
私が暴れるとでも思っているのだろうか...寿の性格を考えれば、私が抵抗しても泉に被害が及ぶだろう。
どうせ逃げられないなら...従うしかない...
「泉ちゃん...何も言っちゃ駄目よ?私の分まで...生きてね...」
泉に念を押し、最後にもう一度言う。
作業服の男は私を檻から出すと...両手を後ろで拘束し、リードを引いた。
振り返ると泉は涙を流して私を見ていた。これで...サヨナラ...