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私達が人間を辞めた日
第17章 サヨナラ
寿が泉を離すと、泉は作業服の俺に手枷を外され、寿の足元に手を着いて土下座する。
泉ちゃん駄目よ!!そんなヤツの言葉なんて信用しないで!!
必死に心で訴えるも、それが届くはずもない。
寿はどうせ私を生かしておくつもりなんてない...私が生きている内に...最後に泉を弄ぼうとしているだけだ。
それでも...泉という人間は...
「なんでもします!!私がどうなっても構いません。理佳さんの減点を取り消してください!!」
泉は私の為に...自分の顔に一生物の傷を負わせたばかりの男に...幻想の希望を見せられ、更なる屈辱を受け入れようとしている。
寿は泉の口に靴の爪先を近付けて、私を挑発すように横目で見ながら泉に言う。
「これから少しでも嫌がったり抵抗すれば...6番は...」
寿は言葉の終盤を濁すと、五指を伸ばして手刀のようにした手を自分の喉の前で横一線に振った。
私の首を落とすというジェスチャーだろう...
それを見た泉は精一杯の明るい声を震えながら絞り出す。
「はいっ!!ンン...頑張ります...」
寿の靴を舐めながら媚びる泉を見て涙が滲むが、今の私にできる事は何も無い...