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私達が人間を辞めた日
第17章 サヨナラ
「ンン...」
私は泣きながらゆっくりと首を左右に振る...叫んだり暴れたりすれば泉に危害が及ぶだろうが...このくらいなら...寿の瞳を見詰めて必死に訴えた。
もう辞めてください...今から私を殺して構いませんから...
しかし寿は私の顎を持ち...告げる。
「勝手な行動をしたな?」
その笑みはどこまでも非人道的で...どこまでも狂気に満ちていた。
そして振り返り...作業服の男に言う。
「待て...注射をもう一本追加だ...」
「あの...二本注射しましたが...宜しいんですか...?」
「命令だぞ?」
「はい!!」
寿の言葉に、泉から離れようとしていた作業服の男は、少し動揺した様子を見せて確認を取るが、寿の命令には逆らえないようで...再び新しい注射器を取り出す。
「あ....あ....」
焦点の会わないような視線を天井に向けて力の無い声を洩らし、吐息を荒くした泉の腕に...三本目の注射器が刺された...