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私達が人間を辞めた日
第3章 減点制度

可哀想に...
7番の子は抵抗でもしてしまったのか、体中に生傷を作り虚ろな瞳で檻に戻された。
私だって十代の頃にこんな目に合えば抵抗したと思う。あの頃はどうしようもない事を簡単に認めるなんてできなかった。

「大丈夫?」

思わず声をかけると少し間を開けて震える声が返って来る。

「...私...ですか?」

顔も見えない状態なので私が誰に話し掛けたかわからないのだろう。ここに来て初めての会話な為、そんな簡単な事も気付けなかった。それにどう考えても大丈夫なはずないではないか...
しかし、7番と呼ぶのは忍びない。

「うん。私は6番の理佳。よかったら名前...聞いてもいい?」
「はい...泉です...7番...の...」

やはり自分を7番と言うのは抵抗が有るようだ。

「泉ちゃんね。あんまり思い詰めちゃ駄目よ?」
「はい...ありがとうございます。理佳さん」

我ながら年上らしい励ましとは思えない月並みな台詞だが、泉は少しだけ声音を変えた。

「あんな変態のクズ野郎の相手は辛いでしょうけど、気にし過ぎると損するわ。泉ちゃんも慣れるのは大変だと思う。でも...」

【ビーーーーーーーー】

私の声を遮るように、映画館で上映前に鳴るようなブザーが響き渡る。ここで初めて聞く音にびっくりして皆周囲を見渡すと、天井のスピーカーから男の声が響いた。

『6番...寿様への暴言...減点1』

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