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私達が人間を辞めた日
第19章 【最終章・私達の答え】前編~真夜中の侵入者~
「それでも...行くしかありませんから...」
背後の席に座る野中孝弘(ノナカタカヒロ)は小さいが力強い声で言った。
孝弘は宏の息子と結婚した希望の父で、昔から親交があった宏と共に、今日桜の残した発信器を辿るのに協力してくれた。
「本当ですよ...私はあの馬鹿娘をなんとしてもひっぱたかないといけません...全く...なんて無茶を...」
少し涙ぐんだ声で言ったのは桜の父である渡辺清志(ワタナベキヨシ)だ。
桜は他の協力者に連絡すると言っていたが、実際に話したのではなく...俺に話した後に手紙という形で報告したらしい...
俺以外の三人は知り合い同士なので、一人にでも知らせれば、桜を断固としてこんな危険な目に合わせなかっただろう。
その後に俺の連絡でその事を知った後に手紙が届き、直ぐに桜に連絡したが、桜は携帯の電源を入れていなかったようだ。
俺がいくら聞いても調べる場所を教えてくれなかった事から、父親と連絡がつけば必ず...こんな危険な方法は認められない ...桜はその事をわかっていたのだろう...
俺だって娘がこんな事をするつもりと知ってら、力ずくでも止めていた。
なのに...俺は娘の泉を救いたい気持ちを優先してしまったのだ...