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私達が人間を辞めた日
第19章 【最終章・私達の答え】前編~真夜中の侵入者~
車を隠すように駐車させた俺達は歩いてその建物に向かう。
こんな静かな森でエンジン音を響かせて接近する事できない...
武器...と言える程の代物ではない鉄パイプを握り締めて深い茂みを進んで行く。
背中のベルトにあまり大きくはないナイフを差してはいる...しかしナイフなんて使った事もないので、鉄パイプの方がマシだろう。
各々は木刀やスタンガンを用意している。一般人が直ぐに用意できる凶器などたかが知れているが、贅沢は言ってられないのだ。
車の中には最低限の救急箱等を用意しているものの、なんとも心細い...俺だけじゃない、皆不安なんだ...
このまま警察に任せておいても、どうにもならないという確信がある。なんとしてでも...自分達の手で...
茂みから顔を出す...接近して見ても建物...いや、館と言っていいだろう。それは想像以上の財力の持ち主が建てた物だと伺える。
俺の...一般的なイメージなら...こんな狂っているとしか思えない失踪事件の犯人のアジトという印象とかけ離れている。
なぜ...こんな館を構えられる程裕福な人間が...我々から大事な人を奪うのだろうか...
GPSの反応が正しければ桜はこの中に...そして桜の読みが当たっているのなら...泉もこの中にいるはずだ...