この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私達が人間を辞めた日
第19章 【最終章・私達の答え】前編~真夜中の侵入者~
「行きましょう...」
俺が囁くと、皆は覚悟を秘めた表情で頷き...先陣の俺の後に続く。
不法侵入等と言ってはいられない...桜の発信器の反応がある時点で無関係なんて有り得ないじゃないか。
汗で湿った手で豪勢な扉の取手を握るが...開かない。
皆に首を振って、館を回り侵入できる場所を探すと...しばらくして裏口らしい場所を発見する。
そこには数台のトラックが並ぶ...桜が言っていたトラックとはこれの事だろうか...
人にもよるだろうが、こんな山奥でどこもしっかり施錠している事と合わせて考えても...この館は疑わしい。
その裏口の扉はこの館に似つかわしい程平凡だ...
頼む...開いてくれ...心で悲痛な叫びを上げながら...ドアノブを回した。
カチッ...俺の願いに扉が応えた音...
俺達はもう一度互いに頷き合い...館に侵入した...
直ぐに廊下に出る...現在深夜三時という事もあり、廊下は無人だ。
「二手に別れますか?」
「いえ...ここまで大きな館なら、合流するのも困難です。四人で行きましょう」
清志に答えると、皆はまた頷いてくれた。