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私達が人間を辞めた日
第19章 【最終章・私達の答え】前編~真夜中の侵入者~
「灯りをつけますね...」
宏が呟き、小型の懐中電灯にハンカチを被せて電源を入れると、足元すら見えないような暗闇は幾分かだけ照らされた。
想像通りの広さだ...思わず怯んでしまそうになるが...
「しらみ潰しに行くしか無いでしょうね」
清志は俺の思いを代弁してくれた。
そうだ、迷ってる暇なんてないんだ。広いならその分時間を使うしか方法がないじゃないか。
慎重に足音を消し、灯りも光が漏れ過ぎないように注意しながら先へと進み、目についた扉を全て調べるが...そのほとんどが施錠されていて、開いたのは物置くらいだ...
しだいに焦りが沸き上がっていく...
朝にはここを出なければ起きた人が来てしまうだろう。残された時間は...二時間程度だ。
人影を目撃する事は一度もなく、三十分以上が経過した頃、これまでとは違う...見た目は質素だが大きな扉を発見した。
皆がその扉が発する重苦しさに息を飲む。
本能的に拒絶してしまうような扉を慎重に押す...
ギィィ...施錠されていていない扉が数センチだけ開いた。