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私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
自分の心と向き合う事がこんなに辛い事だったなんて...
私の心の微かな希望や...生きる為の気力が、少しずつ崩れていく。
『死ねるよ?舌を噛み千切れば...そのバケツの汚水を飲み続ければ...死ぬまで壁に頭を打ち付ければ...』
死ねる...私は...生きてても...この先...希望なんてない...
何かに導かれるように...自分の舌を歯で挟む...
絶対...痛いよね...でも一気に噛まなきゃ....せめてそれくらいの痛みを味わってから、理佳さんに謝りに行こう。
ごめんなさい...理佳さんの最後のお願い...聞けませんでした。
『絶対...生きて...』
歯に力を入れようとした瞬間、ビクッと硬直した。
今聞こえた声は自分の心の物ではなく...理佳の声だった気がする。
それはただの幻聴だろう...死にたくないという防衛本能が、都合の良い幻聴を作り出しただけかもしれないが....その幻聴が私を硬直させた十秒程のタイムラグ...
その時間帯に...部屋の扉が開く小さな音が...静寂な部屋に響いた。
人が入って来る気配...暗闇で姿は見えないが、確かに...人が入って来た。
その者は灯りを何かで覆い、光が漏れすぎないようにしている事から、作業服の男では...少なくとも、これまでの呼び出しとは違う訪問だ。