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私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
直道は私のジェスチャーの意味を懸命に探るような険しい顔をすると、はっと目を見開いて頷き、仲間らしい他の人達の元に駆け寄って耳打ちした。
よかった...お父さん...気付いてくれた...そういえば、盗聴されている事も...理佳さんが教えてくれたんだった...
直道の仲間の一人が、二つ左隣の檻で呆然としている...その間に直道は私の檻の鉄格子を、音を立てないようにぐっと引っ張り続けた。
そうだった...お父さんが来てくれても、この檻から出られないなら...私達は助からない...
直道は再び泣き出しそうになった私を見ると、優しく頷きかけ、鉄格子の鍵穴を指差して決意の込められた瞳を見せる。
鍵を探してくるという意味だろう...
行かないで...もう...一人にしないで...その言葉を飲み込み、私も頷き返す。
部屋の中の複数の気配に気付いたのか、檻の中の囚われの女達もぽつりぽつりと体を起こしている。さすがに声を出す者はいないが、直道達の態度を見て、少なくとも敵ではない事は察しているだろう。
直道はもう一度私に頷きかけると仲間達に耳打ちし、 仲間と共に部屋を出る。
そう...その四人が私達の命運を握っている...
私達を待っているのは地獄だろうか...それとも...救済だろうか...