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私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
【直道side】
部屋を出ると堪えていた涙が込み上げてくる...
念願の再会を果たした娘の姿を思い出すと、今にも発狂しそうだ。
残酷なピアスに...父親の前であったとしても、裸に何の抵抗を感じていないような振る舞い....一生悩まされるであろう顔の傷は、もう娘が女性としての幸せを得る事ができないのではないかと思う程だった。
人間を...命を...人の気持ちを...なんだと思っているんだ!!!
それでも...今は怒りに突き動かされる事は許されない...
俺と清志のはどんな形であれ娘を発見できたが、宏の息子と孝弘の娘は未だ発見できていないのだ。
そんな二人の前でどうして怒りを見せる事ができるのだろうか...
二人共他人よりも自分の子供を探したいに決まってる。それでも行動を共にしてくれているじゃないか。
まだ調べていない部屋を探し...なんとかして鍵を手に入れなければ...
「待ってください...」
二人の子供も絶対に見つけるという決意をしていた俺に、宏は囁きかける。
咄嗟に振り向くと、皆足を止めていて...俺だけが五歩程飛び出している形になっていた。
清志が前方を指差し、反射的に前方に目を凝らす...
そこには...一人の女性が横たわっていた。