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私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
少女は俺達への警戒を解いてくれたようで、しっかりとした口調で答えてくれた。
「えっと...私は連れてこられたばかりで、他の人の居場所はわかりません...でも...鍵の場所は知ってます。連れてこられる時に見ました...」
「どこに...?」
「近いから...案内しましょうか?」
「ああ、頼むよ。君も絶対に助け出すから」
俺達は前に進み出した少女の後ろを歩く。
なんて勇敢な少女なんだろうか、普通なら直ぐにでもこの館から出たいと思うだろうに...
少女は数十メートル程歩いた後、何の迷いも無く一つの部屋の扉を開ける。
「たぶん...ここに有ります」
幸いこの部屋は施錠されていない。全ての部屋の鍵をこの部屋で管理しているのだろうか...そのわりには鍵はさほど置いていないが。
少女は五つずつ束ねられた鍵をいくつか拾い上げて言う。
「これです。確か檻に番号が記されていて...この鍵に記されている番号で合うと思います」
合計二十を越える鍵を受け取る。これで...娘を助け出せる...
少女は俺達が希望を抱くのを眺めながら、少し申し訳なさそうに言う。
「あの...自分勝手で悪いですけど...私は...直ぐにここから出たくて...」
「いや、ここまで案内してくれただけで十分だよ。外に車が停めてあるから、僕がそこまで送るよ」
宏が答えると、その少女は嬉しそうに礼を言った。