この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
もう数日だけ早かったら...理佳さんも...
ふと、そんな考えが浮かぶ。
その時...私の隣に理佳が現れた...今度こそ幻覚だ...それはわかってるけど...
ぼんやりとした姿の理佳が、私を抱き締め...頭を撫でながら心に語りかけた。
『泉ちゃん...よく頑張ったね』
『理佳さん...ごめんなさい...私...理佳さんを...』
『泉ちゃんのせいじゃないのよ?だから...私は泉ちゃんを恨んだりしないから』
『...でも...私だけ...』
『いいの...泉ちゃんは助かるんだよ。私の分まで...生きてね?』
『はい...今度こそ...約束します...』
理佳の姿は緩やかに消えていく...
絶対...絶対に生きます...理佳さん...ありがとう...
涙を流し...少しだけ暖かい気持ちに浸りながら、直道を見る。
直道の少し焦った表情に...微かな違和感...
そうだ...いくらなんでも...遅過ぎる...
直道は何度も鍵を回そうとするが、鍵穴はそれを拒み続ける。
直道だけじゃない...他の檻に向かって鍵を開けようとしている仲間達もだ...誰も...檻から出られていない。
...なんで...?
ガシャアアアアアアン!!!!!
もの凄く大きな音が...部屋に響いた。