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限りの月
第8章 嫉妬
保育園を後にすると、電車に乗ってオフィス街まで出た。
周りはスーツ姿の男性や女性がせわしなく歩いている。
(私も結婚する前は、こっちの人間だったな…)
今は専業主婦だ。
哲と出会って結婚して、それからはずっと働いてない。
(…もう少し働きたかったな…)
美織はまだ24歳。
結婚は同級生の中では一番早い方だ。
哲が一流商社に勤めているおかげで、安定した暮らしをさせてもらっている。
だが美織は凛音も手がかからなくなってきたし、そろそろ働きたいと思っていた。