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限りの月
第9章 記憶の欠片
「…広瀬? やだ、広瀬っ…どこ…?」

周りをキョロキョロする妙子。

「広瀬……ひろせぇ!!」
「妙子…!」

美織は半分パニック状態になりつつある妙子のもとに駆け寄った。

「ひろせっ…どこ行っちゃったの…?」

妙子は泣きながら地面に崩れる。

「妙子…」

美織は妙子を抱きしめた。

ヒックヒックと肩を震わせながら、妙子は美織にしがみつく。

「妙子…今の…」
「美織…も見た…よね? 広瀬…いたよね?」

言いながら妙子は涙を拭った。

(確かに今、広瀬くんはここにいた。
だけど消えた…)

自分の前から哲が消えたように…。


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