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限りの月
第9章 記憶の欠片
いや…違う。
自分が哲の前から消えたんだ…。
(どういうことなんだろう…もしかしてやっぱり広瀬くんはあっちの世界に…?)
「美織…わかんないっ…広瀬はどこ行っちゃったの?」
妙子の顔はもうグシャグシャだ。
「…妙子、落ち着いて。ちょっと、休も?」
美織たちは神社の階段に座った。
泣きじゃくる妙子の背中を落ち着くまで撫でてあげる。
数分後。
涙は出尽くしたようで、妙子はボーッと一点を見つめていた。
「…あたし、ね…」
ポツリポツリと妙子が話し始めた。