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限りの月
第9章 記憶の欠片
(どうしてなの…私どうしちゃったの?)

美織は額に手をあてた。
その時。

「あ」

隣から男性の声が聞こえてきた。

「…気分悪いの?」

(…え?私に話しかけてるの?)

美織は隣にいる男性を見上げた。

「あ…!」

今度は美織が驚いて声を出す。
隣に立っていたのは、スーツ姿の紫音だった。

「なんでここに…」
「ちょっと営業で、君は?」
「あ…私はちょっと用事があって…」

美織は恥ずかしくて俯いた。

(まさか…こんな所で会うなんて…)


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