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限りの月
第10章 歪んだ愛
美織はゆっくりと顔を上げた。

「哲…さん…」

怯える美織を見下ろして、哲は微笑む。

「…怖かったか?」

訳が分からず、美織はコクンと頷いた。
哲は美織のもとにひざまずくと、

「可哀相に…」

そう言って美織を引き寄せ、そっと抱きしめた。

「…っ」

暗闇から解放され、暖かい肌の温もりに美織はホッとする。

「哲さ…」
「だけど、美織が悪いんだからな」
「!?」
「美織が俺を拒むから…」

そう言って哲は美織の両腕を掴み、縄でくくり始めた。


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