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限りの月
第10章 歪んだ愛
(やだっ…!)

美織は耐えきれず、その場にしゃがみ込んだ。

「…ああ、その姿も悪くないな」

「!?」

バッと顔を上げると、少し離れて哲が立っていた。
クスリと笑って、美織の股の間を舐めるように見つめている。

「やっ…」

丸見えだったことに気付き、美織は慌てて立ち上がった。

「タイムオーバーだ。レジに行くぞ」

手首を掴まれた。

「やだっ…」

抵抗しようとするが、力が入らない。

哲は冷蔵庫からコーヒーを手に取ると、レジに向かって歩き出した。

「いらっしゃいませ」

何も知らない店員が、コーヒーを受け取ってスキャンする。

その間美織は、哲より一歩下がって俯いていた。

「ああ、あと…」

その時、グイッと腰を引っ張られる。

「…っ!!」

美織の心臓が飛び跳ねた。

「……JPSを一箱」

「たばこですか? すみません、番号で言ってもらえます?」

その会話を聞いて、美織はホッと胸をなで下ろした。

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