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第11章 二人の関係

「目撃してしまったとしても、接触しなければいい」

美織はゴクリと息を飲んだ。

「……もし、接触してしまったら？」

「何が起きるかわからない。もう元の世界に戻れないかもしれない」

「……っ……」

あの時は遠目から見ただけで接触はしていなかった。でもここから近かったし、用心はしておいたほうがいいだろう。

「それに、本当は長くこっちにいないほうがいいんだけど」

「えっ……」

「あんた、こっちに来る頻度が高くなってるだろ？」

「……」

たしかに前回からそう時間は経っていない。でもまだ二度目だ。

「二つの世界を行き来しすぎると、どちらかの世界に影響が出る」

「どんなことが……？」

「わからない。でも居るはずの人間が、ある日突然姿を消したりする」

それを聞いて、美織は広瀬のことを思い出した。

そういえば妙子の話では、広瀬は部屋をそのままに、ある日突然姿を消してしまったと言っていた。