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喘ぐなら、彼の腕の中で
第9章 胃薬と酔い止め


キ~~~!
いつも人をバカにして!!
いや、ほんとに私がバカなのか?


「何よ! じゃあ何でもありじゃない!」

「よく分かってんじゃん」

「そうね!
お互い恋人もいないし、私達はカップルでもないから自由に遊べるわね!」

「そうさ。
誰に見られてもいいし、隠さなくてもいい。
堂々と楽しい時間を過ごせる」


………!

トクンと心臓が鳴って、言葉に詰まった。


……あの人に制限されていた時は、叶わなかった願い……


ゆっくりと運転席に顔を向けると
赤信号で止まったタイミングで、莉央も私を見た。


「号泣した後、必ずしなきゃいけないことがある。
何か分かるか?」


サングラスで表情は分からないけど、穏やかな声で聞かれたから
ふるふると首を横に振る。


「泣いた時間の倍以上、思いっきり笑うことだ」

「……っ」

「大人になればなるほど、難しいことなんだけど
お前はラッキーだな」


サングラスを外した莉央が、私に向かって微笑んだ。



「取引先からの信用度及び顧客満足度No.1の俺が
最強の笑いを提供してやるよ」




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