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喘ぐなら、彼の腕の中で
第9章 胃薬と酔い止め


どうしよう。
なんか、本当に楽しいな。

明るい太陽が降り注ぎ、爽やかな風が吹き抜ける。

子供に戻ったような、日常を忘れる賑やかな世界。

そして、私の隣りを歩く無愛想な男。
この場所のどこにいても何をしてても、莉央は常に浮いていた。


莉央とパレード
莉央とメリーゴーランド
莉央と……


「それなに?」
「メイプルチュロス」


似合わない(笑)

喫煙所から戻ってきた莉央の手に、棒状のドーナツが握られていた。


「甘いの苦手でしょ?」
「お前の。メイプル好きなんだろ」
「キャラメルだってば」
「めんどくせぇな!」


まだ午後の3時だというのに、絶叫マシーンに乗ったせいで、莉央はもう食べ物が受け付けないらしい。

色んな売店に辿り着く度に、莉央は私に色んなものを買い与えてくれた。
アトラクションを待つ時間も、得意のトークで全然飽きない。


……顎が外れるんじゃないかと思うくらい
夕陽が沈むまで、私はずっと笑っていた。




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