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喘ぐなら、彼の腕の中で
第9章 胃薬と酔い止め

「女はね、体を重ねる相手に愛してほしいんだよ」
私の言葉に、莉央は大きく溜息を吐いた。
「だから俺は…」
「それだけじゃないよ。
体を重ねることで、幸せを感じれば感じる程
相手にもそうであってほしいって願うのよ」
莉央の深い瞳を真っ直ぐ見つめる。
「莉央は本当に大事に抱いてくれるし、それは伝わってくるけど
莉央自身の心が見えないのは……やっぱり寂しいよ」
本当は、他の女の気持ちなんて分からない。
でも、少なくとも私はそう思ってる。
莉央とこうして一緒にいて、知らなかった一面に気付く度に
あなたが隠す本心が何なのかを、教えてほしくなってしまう。
「……アホか。
どれだけ欲張りなんだよ」
「欲張りかな?」
私が聞き返すと、莉央もやっと私を見た。
「相手の気持ちを知りたいって思うのは、自然なことだよ。
優しく抱きしめてもらえたら、なおさら」
「……」
「それに、好きな人に限らず……自分にとって大切な人には、心から幸せになってほしいもの」
─── そう、私の願いは
あなたに “ 心 ” を知ってもらいたい。
「莉央、私はね。
莉央に、本当に好きな相手と繋がってほしいの………」

