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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO


知るか!!
どーでもいいわ!!


・・・と心の中で叫んでみる。


なんかさ……
相手が芹澤さんだから、とかいう次元を超えたのは気のせいかな?

亜美が言葉を発する度に、“ 心の余裕 ” という名の燃料が減っていく。


「……ねぇ、亜美」


マシンガンで続く話がようやく途切れたので、私は口を開いた。


「余計なお世話かもしれないけど……
あまりその名前を出さない方がいいんじゃないかな」

「えっどうして!?」

「社内恋愛なんだし、今この屋上にも社員がいっぱいいるし……」


ここまで言っても、亜美はきょとんとして首を傾げる。

……まぁ、あなた達がいいなら構わないんだけど……

私が1番気を付けていたことが、こんなにもオープンにされてるから、驚きを通り越して呆れてしまう。


「沙月、あたしが羨ましいの?」

「………」


亜美が私の顔を覗き込んで言った一言で、ガラガラと何かが崩れる。

いいよもう、勝手にして……


アイスコーヒーを飲みながら、ため息をつくと
後ろから誰かが近付いてきた。


「なぁ、今の話詳しく聞かせて」
「………!」


ほら、言わんこっちゃない。
声のした方に亜美と私が同時に振り向くと


「芹澤と亜美ちゃんが付き合ってるって知ったら。
涙する男はいっぱいいるだろうな」

「………!!」


その姿を見て、体が固まる。


「あ~~♡
営業一課の宮本さんだ~♡」


フリーズした私と対照的に、亜美はポワ~ッとした笑顔で彼を迎えいれる。

煙草の箱とライターを持った莉央が、笑顔で私達を見下ろした。



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