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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO


* * *


エレベーターには乗らず、人のいない端のスペースに行く。

金網にもたれて煙草を吸ってる間、しばらく無言だった莉央がやっと口を開いた。


「……あの女、どの惑星に生息する物体だと思う?」
「………」


亜美と話している途中から、いつもの口調に戻りつつあったけど
完全にその姿を取り戻した莉央を見て、なんだかホッとする。


「どこだろうね…」
「お花畑の住人だろ!!」


えぇ!?
ノリツッコミ!?

やっぱり普段の莉央じゃない!

煙草の箱をぐしゃっと潰して、莉央は不機嫌MAXで続ける。


「計算しまくってるクソ女だと踏んでたのに、とんだ見当違いだ。
あんな気持ちわりぃノロケを素で話してる時点で、バカだとは思ってたけどな」

「……!」

「人の言葉を表面でしか捉えねーから、ワケわかんねー解釈してんだよ。
なにがネバーギブアップだ。アホか。
マジで腹立つ」


……ノロケ……

そこからもう聞いてたんだ……

イライラしながら2本目に火をつける莉央を唖然として見てしまう。


……珍しく感情的になってる。
莉央の余裕をここまで無くせるなんて、亜美……あんた凄すぎるよ……


「……莉央」


私が静かに彼の名を呼ぶと、莉央も私に視線を戻した。

亜美への暴言は置いといたとしても
私の為に言ってくれた言葉………

また胸のドキドキが大きくなる。



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