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喘ぐなら、彼の腕の中で
第11章 忘れられない日


「今、失恋はしていないけど。
告白する前から失恋するって決まってるの」

「なにそれ。禁断の恋?
妻子持ちは止めとけよ」

「……違う。報われない恋」


あなたの弟ですよ~なんて、口が裂けても言えない。
兄弟揃って私に興味が無いなら、もうその血が受け付けてくれないってことなんだろうな。



─── その後も

翔ちゃんは巧みな話術で私の話を聞き出そうとするから
相手が莉央ってことは伏せて、今の状況を掻い摘んで説明した。

一通り話が終わり、夕陽を見つめたまま溜息をつくと
翔ちゃんは煙草を灰皿に入れて口を開いた。


「なんで報われないって決め付けるの。
もしかしたら沙月の思い違いかもしれねーじゃん。
お前はいい女だよ」

「……フった張本人がよく言うよ」

「お~懐かしいな。
いまだに根に持ってるわけ?」

「持ってないけど、ショックで初めて泣いた日だからよく覚えてるのよ」


あの頃翔ちゃんはモテ始めていて

中学3年の卒業を目前に、周りの女の子達が次々にアタックしていたから

幼なじみとはいえ、告白してきたうちの1人って程度にしか感じてないと思うけどね。



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