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喘ぐなら、彼の腕の中で
第11章 忘れられない日

「俺もよく覚えてるよ」
長い足を砂浜に放り出して、翔ちゃんは空を眺めた。
「沙月が俺を好きなのは気付いてたし。
すぐ態度に出るから分かりやすくてさー」
「あ~そうでしたか。
だから驚きもせず、あんなにスッパリ断ってくれたんですねー」
「いや、俺は仕方なくフったんだ。
不本意もいいところ」
……え?
不本意?
言葉の意味が分からなくて、翔ちゃんに目を向けると
翔ちゃんも私を見て笑った。
「今さら言うなよって感じだよな」
「なになに?
意味が分からないんだけど…」
「俺優しいからさ、譲ったんだよ」
「譲った?」
「うん。
でも受け取ってくれなかったけどね」
……??
ますます意味が分からない。
頭の上にハテナマークを浮かべると
翔ちゃんは少し切ない表情になって、再び空を見上げた。
「沙月に告白されたってのもそうだけど。
もうひとつ、別の理由で忘れられない日なんだ」
「……え?」
「莉央が
初めて俺を殴って、初めて俺に涙を見せた日」
「………!!」
「……あの日が、最初で最後だ」

