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喘ぐなら、彼の腕の中で
第11章 忘れられない日

夕陽がかかりはじめた海面が、より輝きを増していく。
濡れた髪を光らせて、翔ちゃんはまた1本煙草を取り出した。
「まぁ、どれだけ俺達が莉央を受け入れたところで
あいつ自身が持つ “ 心の傷 ” を、完全に癒すことなんて出来ないんだけどね」
「………!」
「そんな立場に加えて、男2人が上にいる三男だろ?
もう俺達への気遣いがすげーのなんのって。
心を抑えて、自分の本音や傷を他人に絶対に見せない」
「……っ」
「……誰よりも優しくて弱いくせに、強がってるんだよ」
翔ちゃんの言葉を聞いて、心臓がドクドクと鳴り響く。
屋上で亜美のノロケを聞いた日
あの時、莉央が亜美に言い放った言葉………
「……翔ちゃん……」
放心しながら翔ちゃんを見ると、翔ちゃんも私を見て微笑んだ。
“ 人に優しい分、傷付きやすいんだ。
それなのに、人一倍我慢しちまう ”
私の為に言ってくれたあの言葉は
……きっと、莉央自身の……
“ 強がってるけど、すごく弱いから。
頼むから、これ以上泣かせないで ”
「………っ」

