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第12章 心の傷

私の言葉を聞いて、莉央の動きが止まった。


「………」


私を押し倒したまま、ゆっくりと体を起こすと
深い瞳がじっと私を見下ろしてくる。


「やめたいってこと？」
「違う」
「……？」
「…… “ 体だけの関係 ” を、やめたいの」


心臓がバクバクと鳴り響く。

……同じ状況を何度も経験してきたであろう莉央なら
この一言だけで、意味が分かるはずだ。

莉央はふっと笑みを浮かべると、私の髪を撫でた。


「もしかしてお前、俺に惚れたの？」


笑ってはいるけど……驚くでも喜ぶでもない、感情の見えない顔。

髪に触れる冷たい手を感じながら、私は静かに口を開く。


「……うん」

「いつから？」

「気付いたのは、宇宙人と戦ってくれた時。
でもきっとその前から…」

「へー、それはどうもありがとう」

「……！」

「これからはもっと優しく抱いてやるよ」


表情も、声のトーンも
まったく変わらないまま、再び唇が重ねられた。

上唇を甘噛みして、そのまま舌で舐めるように愛撫して


「……っ」


………優しいけど、すごく冷たい。

私の気持ちを伝えても響かないんだ。

高鳴っていた心臓が、次第にズキズキとした痛みに変わる。


……だけど、ここで終わりにはできない。